このマッチングを容易にするのが統一個人コードであるということから、住民基本台帳ネットワークシステムの構想においては、統一個人コードに該当する共通番号の使用は行政機関内にとどめるとしている。民間企業が国民に共通番号を提示させることも禁じようとしているのである。
統一個人コードは、単なるコードの標準化にとどまらず、ネットワーク社会における公的な身分証明手段ともなるものであることから、端ワードや、ICカードの活用によってセキュリティ方策を万全にした上で、民間活動においても使用することによって、有効に活用できるものと考えられるが、現行の方策が不十分な状況では急速にそこまで拡張することは無理があるかもしれない。今後、検討すべき大きな課題であることには間違いない。
1-3 地方公共団体の動向
1-3-1 住民記録システムの現状
(1) システムの変遷
住民記録システムとは、「電子計算機、端末機、電気通信関係装置、電気通信回線、プログラム等の全部又は一部により構成され、住民基本台帳に関する記録を管理し、及び住民基本台帳に関する事務を処理するためのシステム」(昭和61年2月4日自治省告示第15号)と定義されている。
住民記録システムの変遷について概略すると、従来の住民登録法に代って住民基本台帳法(昭和42年7月25日法律第81号)が制定された後、東京都中野区、米沢市等において住民データカード兼選挙人名簿と呼ばれるメンテナンスカードを作成し、これを基に片仮名使用のシステム(バッチ処理)を完成させた。昭和51年頃から、東京都目黒区、伊丹市等では、住民情報データベースを構築し、税証明書の発行及び情報検索をオンライン即時処理するシステム(片仮名使用)を開発している。昭和55年から、大宮市、倉敷市等において、オンライン即時処理により住民基本台帳を作成することができる住民票即時発行システム(漢字使用)を開発している。情報技術の飛躍的な発展と市町村(特別区を含む。以下同じ。)におけるコンピュータ利用の拡大等を背景として、昭和60年6月25日には住民基本台帳法が改正され、磁