るものと期待されるのである。文書の持参と郵送ならプライバシー侵害ではなく、オンラインによる伝送は侵害であるというのは、不合理である。このような感情論でオンライン結合、プライバシー論議をしている限りは、ネットワークによる行政サービスの質の向上、行政事務処理の効率化は望めない。
?C マッチングによるプライバシー侵害の不安
プライバシー論議でもっとも大きな点は、マッチングによる個人の権利・利益の侵害の恐れであろう。マッチングは、複数のファイルにある個人情報を組み合わせることによって、有意な新しい情報を得ることであり、そのことによってプライバシー侵害の可能性が高まるという問題である。このことは、従来の紙の文書による個人情報の処理では不可能であり、情報化が進んできたことによって新たに発生した課題である。
複数のファイルにある個人情報をマッチングする際に、統一個人コードがあればスムーズにできることも確かである。それだけに、諸外国においても個人コードの統一個人コードとプライバシー侵害は関連付けて議論されてきており、他機関の個人情報ファイルとの結合を一律に禁止している立法例はないが、マッチングに条件を付して規制している国は多い。マッチングという明確な言葉は使っていないが、諸外国の立法例であげられている、他ファイルとの結合の条件は以下のとおりである。
* 保有目的の範囲内である場合
* 法律による規定による場合
* 本人の同意がある場合
* 行政の適正な遂行に必要な場合
・ 保有機関が利用する相当な理由がある場合
・ 他の行政機関へ提供する相当な理由がある場合
・ 保有目的と矛盾しない場合
・ 会計検査等の用に供する場合
・ 文書保存のために提供する場合
* 本人の利益になる場合
・ 本人に供する場合
・ 明らかに本人の利益になる場合