日本財団 図書館


いる。後者に関しては、住民票の閲覧時に本籍地を表示しない方法が一般的に採られていることから、事実上、問題点は解決しているといえよう。

住民票の写しの交付についても閲覧と同様に、法第12条において以下のように記述されており、原則として公開されているのである。

「第12条 何人でも、市町村長に対し、住民票の写し又は住民票に記載した事項の証明書の交付を請求することができる。」

ここで「何人でも」というのは、誰でも本人以外の住民票の写しの交付を請求することができると考えてよい。それにもかかわらず、一般的に、住民記録が非公開のように考えられているのは、住所録や名簿が売買され、ダイレクトメール等が多く送られてくるという事情があると考えられる。このような状況を背景として、閲覧の場合と同様に、下記のような条項が追加修正されたのである。

「第12条4 市町村長は、第1項の請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。」

この記述から明らかなように、交付請求が拒否されるのは例外的な場合であり、本来は誰でも、交付請求ができるのが法の趣旨であるのである。

 

?B 他の市町村長への情報提供

1,300以上の市町村において個人情報保護に関する条例が制定されているが、その4分の3以上の団体において、いわゆるオンライン結合禁止条項を設け、他の市町村とオンラインでデータを送付してはいけないことになっていることは既述のとおりである。しかしながら、住所変更に伴う住民記録の変更に関して、市町村間で個人情報が送付されているのである。住民基本台帳法第9条では、以下のように記述している。

「第9条 市町村長は、他の市町村から当該市町村の区域内に住所を変更した者につき住民票の記載をしたときは、その旨を当該他の市町村長に通知しなければならない。」

現行の住所変更に伴う手続は、上記の規定に基づいて、本人が転出証明書という文書の形で転出先の市町村に転入届を提出し、住民票に記載された時点で、当該市町村長はその旨を転出市町村長に通知しているのである。これら一連の作業、情報伝達をオンライン化しようというのが、現在、推進されようとしている住民基本台帳ネットワークシステムの目的である。

このことによって、住民側及び行政側の双方が利便性、効率性で大きな改善が図られ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION