● 住民基本台帳法の目的
住民基本台帳法では、その法の目的が以下のように記述されている。
「第1条 この法律は、市町村において、住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り、あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行なう住民基本台帳の制度を定め、もって住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。」
この法の目的から明らかなように、「住民の居住関係の公証」が大目的であり、これによって住民は居住関係を秘匿するのではなく、むしろそれを主張し、そのことによって、「住民の利便を増進」してもらうのである。選挙権を行使し、教育、福祉等当然受けるべき行政サービスを要求する根拠として、自己の基本4情報を登録するのである。この登録によって、行政サービスだけではなく、例えば、ローンをを起こすとき等、民間企業との関係においても、本人確認、身分証明等の重要な手段となっているのである。
?A 住民基本台帳法の閲覧・写しの交付
「住居関係の公証」を目的とする以上、記録事項は秘密情報ではなく、閲覧、及び写しの交付はむしろ公開なのである。そのことを法第11条では以下のように記述している。
「第11条 何人でも、市町村長に対し、住民基本台帳の閲覧を請求することができる。」
この規定から明らかなように、誰でも本人以外の住民の住民記録を閲覧できるのである。この法の趣旨にもかかわらず、ダイレクトメールを代表として、この住民記録を目的外に利用することが頻繁に発生し、住民からの不安感、不快感から守るために、同条は以下のように追加修正された。
「第11条4 市町村長は、第1項の請求が不当な目的によることが明らかなとき又は住民基本台帳の閲覧により知り得た事項を不当な目的に使用されるおそれがあることその他の当該請求を拒むに足りる相当な理由があると認められるときは、当該請求を拒むことができる。」
要するに、不当な目的の場合には、閲覧請求をを拒むことができるのである。この不当な目的として、通常、ダイレクトメール用の名簿作成や地域差別問題が例示されて