地方公共団体の個人情報保護条例はかならずしも、行政の情報化の進展に則したものとはなっていず、特に、ネットワーク化への対応は不十分である。例ええば、多くの地方公共団体が設けているオンライン結合禁止条項もその代表的なものであろう。
(b) 条例の未整備
地方公共団体において条例の制定が進んでいるが、未だ条例等を制定していない団体が2千以上ある。OECDにおいて、いわゆるプライバシー保護に関するガイドラインを作成した意図は、データが国境を越えて流出する場合において国によって保護方策がなかったり、方策による違いがあることによる不合理、個人の権利利益の侵害の恐れを防ごうという点にあった。それと同様に、市町村間で住民記録データを伝送しあう場合に、保護方策のある団体とない団体が存在することは好ましくないこととなる。
(C) 団体間の条例の差異
条例の内容が団体間で同一ではない。そのため、複数団体間のネットワークによる情報交換を実施する場合、団体によって保護対策の内容に違いがでてくる可能性がある。上記のOECDのガイドラインの趣旨からも、団体による方策の違いは、団体間での個人データの利用推進の観点からは支障となる可能性がある。
(d) 国・地方公共団体間の調整
国の個人情報保護法は地方公共団体を対象としていない。そのため、国・地方間で住民情報をネットワークを介して利用する場合、共通の保護規定がないこととなる。地方公共団体間だけではなく、国・地方公共団体間の個人情報相互利用へ進みつつあり、そのことによって行政サービスの質が向上することが期待されることから、今後、国・地方を通ずる保護法策の整合性確保が求められよう。
(e) 民間企業における個人情報の保護
国の法律及び地方公共団体の条例の大半は、民間企業等が保有し、利用している個人情報の保護を対象としていないため、官民相互を接続するネットワークによって個人情報に関わる行政サービスを提供する際に問題が発生するおそれがある。現在の住民基本台帳ネットワークシステム構想では、官民で住民情報を相互に利用し