その場合に、これらの方法を一律に規制し、禁止することは望ましくないこと。」としているが、現在においても、依然として一律規制、禁止条項が大半を占めている状況にある。
この条例の趣旨を損なわず、ネットワーク社会に適用できるようにするためには、「個人の権利・利益を侵害する恐れがない時を除いて」という前提条件を明記する必要があろう。いくつかの市においては、従来のオンライン結合禁止条項に、以下のような規定を追加している。
「前項の規定にもかかわらず、法令の定めがある場合または個人情報について必要な措置が講じられている場合で、あらかじめ審議会の意見を聴いて、必要かつ適切と認められたときは、オンライン結合をすることができる。」
このような規定があれば、保護する措置が確保された上で、今後の例えば、住民記録のネットワーク・システムの構築、利用にも対応できることになる。
(f) 救済措置
保護法においては、第23条において、「保有機関の長は、処理情報の利用、提供若しくは開示又は処理情報の訂正等の申出に係る苦情その他処理情報の取扱いに関する苦情の適切な処理に努めるものとする。」として、基本的には、各行政機関において苦情処理を行なうこととし、その他総務庁の行政相談や、より正規な救済方法として、行政不服審査法や行政事件訴訟法に基く訴訟もあるが、個人情報の保護に関係する苦情処理や不服申立てを行なう独立した審議機関は設置されていない。
地方公共団体の条例においては、約半数において、不服申立てについて審議する付属機関を設置している。
?B 保護条例の課題
上記のように、個人の情報保護に関する法的な整備は進んできているが、例えば、市町村間、国と市町村間で、住民基本台帳ネットワークシステムを介した伝送、利用を推進するとなると以下のような問題があり、この課題を解決しないと、全国的な住民基本台帳ネットワークシステムは実現しないこととなる。
(a) 情報化進展への対応