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制限したことは、個人情報の保護による個人の権利・利益の保護という観点から評価されるものである。

 

?A 保護条例・法律の概要

個人情報保護に関する規定は、地方公共団体においては、国の個人情報保護法に先行して条例が定められてきた経緯がある。住民に近い行政という性格から、保護方策がより強く求められたという事情があると考えられる。その後OECDのガイドラインが出され、より体系的な保護策が求められ、国の保護法制定実現に至った経緯がある。条例による保護措置の内容は概ね国の保護法と同様であるが、国の法はOECDガイドラインに則していることもあって、より進んだものとなっている。そのため、両者の個人情報保護の考え方、保護内容に以下のような違いが生じている。

 

(a) 対象データ処理形態

法の対象となる個人情報は「電子計算機処理に係る」ものに限定されている。文書による個人情報が法の対象にならないことについては、議論のあるところである。コンピュータ処理されている個人情報の方が、権利・利益の侵害に結びつきやすいという点を根拠としているが、手作業処理による個人情報を対象とすると量が膨大となり法の運用が事実上不可能になるという事情もある。

条例においても電子計算機処理されている個人情報を対象とする場合が多いが、平成9年度現在の制定団体の15パーセントは、マニュアル処理の個人情報を含めている。

 

(b) 対象部門

保護法が対象としている個人情報の範囲は、「行政機関の保有する」個人情報に限定されており、民間機関が保有する個人情報は本法では規制できないという問題を残している。民間が保有している情報については、個別法や業界の自主規制に委ねられている。規制緩和の流れの中で、民間における経済活動に関連する個人情報の収集、利用を一律に規制することの是非と、個人に関する情報の濫用による個人の権利・利益の侵害を防ぐ必要性との兼ね合いが議論となるところであろう。

条例においても公的機関が保有している個人情報を対象とする場合が多いが、制定団体の12パーセントは、民間部門が保有する個人情報を規制の対象に含めている。

 

 

 

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