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(1) 基礎年金番号設定の経緯

我が国の年金制度は、厚生年金、国民年金、船員保険年金及び各種共済組合年金(国家公務員、地方公務員、私学教職員、農林漁業団体職員等)の各制度からなっている。

昭和60年に給付と負担の公平を図るため、全国民に共通の基礎年金が導入され年金制度が一元化された。しかし、制度的な一元化が図られたものの、事務処理面については、年金裁定、年金支払、年金受給者記録管理等の一部の事務のみが社会保険庁で一元的に処理することとされ、その他の部分はそれぞれの制度で処理されていた。

この結果、制度の運営においては、?@各制度ごとに加入者に番号を付けて記録管理が行われ、制度を通じた記録管理ができない、?A制度加入等の手続は加入者に届出等を課しており、届出等がなければ保険者サイドで情報を把握することができないというのが実態であった。

このため、?@被用者年金制度を脱退した者が届出を確実に行わないことによる国民年金1号の適用漏れ、および被用者の配偶者が、被用者の制度異動に伴う届出を確実に行わないことによる国民年金3号の適用漏れ、?A制度間の年金の併給調整の不徹底、?B制度を異動した者や、同一制度でも複数の番号を持つ者については、年金相談や裁定に時間を要したり、正確な被保険者記録の確認が困難な場合が生ずる等の問題が多く発生した。

こうした問題は、制度が適正に運営されないということだけでなく、無年金者の発生や制度自身の公平性、安定性が図られないことにもつながり、公的年金に対する国民の信頼も揺らぎかねないため、各方面から適切な対応を要請する意見等が相次いだ。

主な意見等をあげれば以下のとおりである。

 

○ 平成4年9月17日(年金数理部会 第三次報告書)

「制度間の円滑な情報交換を実現するため、全制度の被保険者を網羅する年金番号の導入を早期に検討する必要がある。」

○ 平成5年5月28日(年金改革に関する有識者調査結果)

「年金番号の一本化による情報交換体制を進めるべきである。」とする意見

・・・81.3%

○ 平成5年6月14日(社会経済国民会議 年金審議会会長)

「年金一元化の主たる目的である給付と負担の公平化、年金事務管理の効率化・簡

 

 

 

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