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比較すると以下のようなデメリットがある。

 

* この番号、カードの携帯、利用が直接的に国民のベネフィットに結びつかないため、普及定着が進まなかった。

* 既存の各種アプリケーションにおいては、個人番号のコード体系が意味を持たせている部分があり、それをキーとして各種分類、整理等を行う場合が多いが、“無色の”住民基本台帳番号ではそれができない。

* 統一個人コードと基本4情報の維持・更新に経費がかかる。

* 国と地方公共団体にまたがるため、両者の連携が必要である。特に、住民登録データを保有する市町村の協力が不可欠であるが、それが、地方自治上問題であるとされ、個人コード導入反対の論拠になった経緯がある。

 

上記のように、住民基本台帳によって付番する方式にはデメリットもあるが、個人コードのメリットを明確にし、個人情報の不当な利用から守る法的、手続的措置を採ることによって、実現性の高いものと考えられる。地方自治との関連、国と地方の連携も重要な視点であるが、現在検討されている住民基本台帳の共通番号は市町村間の住所変更、住民票の写しの交付事務だけではなく、国のアプリケーションにおける個人情報の住所変更の一括化、旅券交付申請における住民票の写しの添付の省略等、利用面の拡張が構想に入っていることからも、両者の関係は密になるはずであるし、それが地方自治の問題に触れるものであるとは考えられない。

 

1-1-2 基礎年金番号制度の概要

 

社会保険庁は平成9年1月から基礎年金番号制度を導入し、全ての公的年金制度の被保険者を網羅する生涯不変の一人一番号制の運用を開始した。この個人番号は国民の大多数を対象とした画期的なものであり、今後の個人コードの在り方を検討していく上で大きな要素の一つと考えられる。以下に社会保険庁の資料に基づいて本制度の概要を見ることとする。

 

 

 

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