日本財団 図書館


第1章

 

我が国における個人コードをめぐる最近の動向

 

統一個人コードの導入に関しては、昭和40年代に事務処理用統一個人コードの調査研究が実施されたが、各省庁の足並みがそろわず、国民の理解も十分得られない状況において、その調査研究が棚上げにされた経緯がある。しかしながら、行政事務において、多くの国民の個人に関わるアプリケーションのコンピュータ処理が進み、アプリケーション間の連携が必要とされる事態が常に発生し、その都度、個人コードの必要性がいわれ、導入のための検討が行われてきた。

事務処理用統一個人コードの調査研究を棚上げにした後、個人コードに関してはいくつかの動きがあり、その代表的なものが納税者番号と、年金番号の統一である。前者は所得の捕捉を高め、税収の増加と税の公平維持を図ろうとするものであるが、基礎的な検討段階にとどまっている。後者は9制度の各種年金加入者の個人番号を統一するものであり、平成9年度から実施に移されているが、年金加入者を対象とするものであるため、国民すべてをカバーすることが求められる統一個人コードにはなり得ないものである。

このような状況において、平成8年3月に自治省の「住民基本台帳ネットワークシステムに関する研究会報告書」が出された。これは、国民すべてに共通番号を付与し、住所変更等の行政サービスの向上に活用しようとするもので、我が国において初めて、本格的な個人コードの導入の施策を打ち出したものとして注目されるところである。この共通番号は、市町村間の住所変更における利用にとどまるものではなく、県及び国においても利用できる拡張性のあるものであり、これによって、国民は個人を識別、認証する方法を持つことができるようになるという期待もある。

 

1-1 国における統一個人コードの動向

 

1-1-1 事務処理用統一個人コード

 

(1) 検討の背景

昭和30年代半ばから国におけるコンピュータ処理が開始され、その後、コンピュー

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION