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上記の経営合理化方策は、利用者へのサービス低下につながるおそれがあるため、その導入については慎重な対応が必要である。特に、ヘビーユーザーの10代及び60才以上の高齢者に配慮した導入が望ましい。

 

4. 舞鶴航路の将来のあり方の検討

 

将来、舞鶴湾周辺の道路整備が完了しても、市街地の中学、高校への通学者やマイカーを利用しにくい高齢者の市街地への通院や用務のための「住民の足」の確保は依然として必要である。地域の交通需要の特性に応じた輸送サービスの確保を行うため、必ずしも航路だけでなく、路線バス等を含めた公共交通手段の中から、収支採算性も念頭に検討を行うことが重要である。

ここでは、将来の湾岸道路の整備完了を前提とした航路利用者の滅少、離島航路補助制度からの適用除外を想定し、「住民の足」を確保するための方策として「スクールボートへの変更」、「パーク・アンド・ライド型の運航体制への変更」、「観光船を主とする経営体制への転換」を検討する。

しかしながら、いずれも現行運航形態を大きく変更することを余儀なくされるものであるため、ここでは、考えられる方策を提示するにとどめ、今後の住民、行政、事業者のコンセンサスの形成を待つこととしたい。

 

1)スクールボートへの変更

道路整備の完了によりマイカー利用が増加すれば、定期船の利用層は現在よりもますます限定される。すでに、現在でも定期船のヘビーユーザーは10代の学生であり、利用客限定化の傾向が生じ始めている。将来、この傾向がさらに進めば、住民の中のヘビーユーザー(学生)を対象とするスクールボートへの変更が考えられる。

スクールボートは、ダイヤも通学時間帯に合わせることができるので、効率的な運航が可能になるため、コスト削減が図れよう。

一方、定期船のヘビーユーザーは学生の他に高齢者であるが、この層についてはスクールボートを利用することで対応可能と思われる(スクールボートの一般人利用の条件はP72に示す)。

 

2)パーク・アンド・ライド型の運航体制への変更

パーク・アンド・ライド型の運航とは、居住地から道路整備の完了した地点まで定期船を利用し、そこから先の市街地までの間は自動車または路線バスを利用するという方式である。この方式は、自動車を船舶の競争相手と見なすのではなく、船舶と共存できる手段と見なし、互いに補完し合うことで住民の足の確保に寄与しようとするものである。

路線バス等の運行状況によっては、このような運航体制の導入により、寄港地の削減等の合理化が図られ、コスト削減にもつながると考えられる。

 

 

 

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