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(?)相対的な位置精度を示す指標を次のように定め評価を行った。

?=Σ(現場作業での道路幅員‐地形データの道路幅員)÷幅員の数

(?は各幅員の現場での数値と地形データでの数値の差の平均である。)

調査範囲内で10箇所の道路幅員を測定し、正を算出した。?の結果は26cm〜35cmであった。

 

?属性精度の評価

(?)地形データの属性精度を示す指標を次のように定め評価を行った。

J=(正しく属性が記入されていた件数÷全件数)×100

地方公共団体地形データの場合、調査範囲内に35件の道路縁データが存在し、全てのデータに正しく属性が記述されているなど、全体で95%〜100%の結果であった。

 

(?)地番図データに関しても地形データと同様に指標を定め、評価を行った。

K=(正しく属性が記入されていた筆数÷全筆数)×100

地番図データに関して、K=l00%となり、公図の地番が正しくデータ化されていた。

 

?時間精度の評価

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(d)民間データの利活用の在り方

 

?民間データの利活用

本調査では、既存のGISデータとして、NSDIPAの協力を得て民間のデータを実際に利用した実験を行った。既に述べた通り、自治行政に適用してはじめて評価が可能となるもので、今回の結果についての取り扱いの議論はあるものの、一方法を示したものとなっている。

特に、今回サンプル範囲内において、家屋の棟数では航空写真で調査した実際の家屋棟数の99〜l03%、道路縁の延長においては98〜106%、さらに平面位置精度でも標準偏差が1m以内であるなど民間データの品質はかなり高いものであった。

しかし、地方公共団体におけるデータ品質に対する要求が明確でない現状では、この結果をもって、民間データが、全ての団体の要求を満足するものであるということはできない。特に、法律で整備が義務付けられている法定図書と呼ばれる地図(図面)については、それぞれ都市計画法や道路法の中で様式が規定されているものがあるため、この分野における民間データの利用には充分な注意が必要であろう。

ただし、このような法定図書を利用すべき分野は、地方公共団体におけるGIS利用分野の一部分にとどまるものと考えられる。既に、住宅地図のように民間企業が作成した紙地図は、地方公共団体のさまざまな部分において利用されている。

したがって、GISにおいても同様に位置情報を利用して位置関係をつかみとるといった参考図的な情報提供手段としての利用や、位置を特定するための地図としての利用といった局面において、既存の民間データの利用をより幅広く取り入れることの検討を進める必要があるとともに、今後は、実務レベルにおいて検証を積みかさねることが肝要である。

 

 

 

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