(2) 住民基本台帳データのGISにおける運用に関する調査
はじめに
住民基本台帳は、地方公共団体における住民の実態を示す最も基本的なデータで、行政の非常に多くの部門においてその情報を元に各種の施策を計画運営している。
換言すれば、地方公共団体運営の最も基本的なデータである。
住民基本台帳データの効果的運用は業務効率の向上をもたらすが、その一方で不用意な運用は「個人情報」の漏出等の危険を伴う。
特に、行政の現場の業務データと一体となったときにその秘匿性はより高まることもあり、行政目的であろうとその運用に当たっては多様な配慮が必要になる。
住民基本台帳は、地方公共団体業務のOA化の流れの中でいち早くは電算化されており、システムとしての運用に当たっても経験を踏まえた適切な運用がなされていると考えられる。
「地理情報システム」は、地方公共団体内の各種情報を統合化し、共有化するためのプラットフォームとしての機能・役割を有している。
また、「地理情報システム」は各種情報の空間的な位置、範囲を適切に伝達し主題データの運用と一体となって業務効率の向上、市民サービスの向上に資すると期待される。
住民基本台帳データを、このプラットフォームの上で運用する効果も大きいと想定されるが、同時に従来の運用とは異なる新たな課題があることも懸念される。
本調査は、地方公共団体業務OA化の新たな流れとしての「地理情報システム」のうえで「住民基本台帳データ」を運用した際に想定される、利点と課題点を検討することを目的としている。
調査の対象となった“滋賀県長浜市”の「地理情報システム」導入の状況
長浜市は、
・平成3年度 地図情報システム導入を前提とした地形図データ整備を開始
・平成4年度 「長浜市地図情報システム整備基本計画」策定
・平成6年度 「固定資産管理システム」本稼動・
・平成7年度 「地図出力システム」本稼動
・平成8年度 「下水道管理システム」本稼動
なお住民基本台帳については地理情報システムでは運用されていない。