単一のクリアリングハウスで、共用データを集中管理することは難しく、各業務に精通している担当部署が、データ提供を個別に管理していくことが現実的である。しかし、大規模地方公共団体ではあるが、扱う空間データ量が比較的少ない地方公共団体では、共用データサーバーを導入し、単一クリアリングハウスを整備することが可能な場合もある。(図3-7参照)
(d)国際標準との整合性
情報システムの構築においては、国際的な動向を踏まえ、ソフト・ハードウェアの選択をしていく必要がある。特に数多くの団体が参加して検討が進められている技術仕様は、近い将来、国内外において、市場における中心的な国際標準として、確立される割合が高い。
システムベンダーは、グローバルに検討されてきた技術仕様を注視し、それに準拠した商品を製造することで、特殊な技術仕様を選択し、短命な商品を生産していく結果に終わるリスクを回避する傾向を強めている。一定の仕様に準拠した製品が市場に多数提供され、その結果、ユーザーが高い確率で購入していく。このような過程を通じ、事実上、市場において標準仕様が確立されていくことが多いのである。
地方公共団体にとっても、国際的な動向を把握した上で、自らに相応しいシステムインフラ関連の製品を見出していくべきであり、国際標準との整合性を図ることで、持続して利用できるGISを構築していく必要がある。
ここでは、まず、主な国際標準化団体の活動内容を紹介する。次に、その団体で、現在主要な検討領域となっている、共通インターフェースに関して、詳述することとする。
? GISに関する国際標準化の動き
GISの標準仕様に関しては、様々なものが世界中で策定されているが、国際標準化の動きの中でも、ISO/TC211(詳細は付録B(3)を参照)における活動が、その参加主体の広がり、活動規模等からいっても特に重要であると考えられる。ISO/TC211は、人材の相互交流を含め他の国際標準化団体との連携を図りつつ、エンドユーザ指向を基本としたシステムの相互運用性を実現するために活発な活動を行っており、1999年度を目途にその分野に関連した国際標準仕様の確定を行う予定である。
(?)ISO/TC211
国際標準化団体の一部として、1994年に設置された専門委員会である。委員会の目的は、「地球上の位置と直接又は間接に関連付けられるオブジェクトまたは現象に関する構造化された標準体系を確立する」ことである。