われ、所定の品質テスト結果が得られているかどうかをチェックすることが必要である。さらに作成手法によっては、作業工程そのもののチェックを行う。
●データベース自身の品質検査方法
データソースの信頼性に限界があり、またその信頼性に関する定量的な評価は困難なことが多いことから、維持更新が所定の品質水準で行われていても、データベースの品質は経年劣化することが想定される。そこで、データベース自体の品質を定期的に検査・評価しなけれはならない。
一般的に、データベース全体を検査することは、費用・時間的に困難が予想されることから、サンプリングによる検査を定期的に行うことが必要になる。また、データベース使用時に、データの誤りが発見された場合には、報告を義務付け、その原因を整理することで、サンプリング調査方法・データソースの選択・データ作成手法等の見直しを行う際の参考資料とする。サンプリングによる定期検査を行うに際しては、統計的な検定を行わざるを得ない。その際、統計理論的な立場からいえば、まず、個別データが要求水準に達しているかいないかを判定し、不適合データの個数や割合をもってデータベース全体の品質を管埋する「属性による検査」が比較的容易に適用でき、ISO等の標準にも規定されている。
(ii)まとめ
空間データの品質管理手法においては、次の2点が重要である。
●データベースの要求品質レベルを、可能な限り明示的・定型的に記述し、体系的な品質管理を可能にする。
●データベースの構築や更新のために作成されるデータの品質管理と、データベースそのものの品質検査を階層的に結びつけ、効果的な品質管理を行う必要がある。
?保存管理
データの保存管理については、安全性の確保と履歴を保持するための仕組みを構築することとなる。安全性の確保とは、データのバックアップを図り事故によるデータ自体の滅失に備えることであり、履歴の確保とは、データの更新等の記録を時系列で保存しておくことである。
データの安全性の確保を図る場合には、まず、ハードディスク等の記憶装置を使い、データを二重に保存しておく方法が考えられるが、これだけでは不十分であり、ハードウェアが故障した場合に備え、磁気メディア等によるバックアップをとっておく必要があろう。
データの履歴の保持に関しては、データの保存タイミングが問題となる。まず、一定時点ごとにデータを保存する方法が考えられる。しかし、この方法は技術的に実現しやすいものの、随時にデータ更新が行われるようになると、全てのデータを同時に更新する事が困難となる。そこで次に考えられるのが、データが変化した時点だけを記録し、その間はデータ不変として処理する方法である。将来的には、この方式によるデータの保持が望ましいと考えられる。
(d)実現可能な範囲と留意点
?データベースの品質管理
データの整備、更新に関わる品質管理においては、従来、入力・更新用に作成される断片的データが対象となってきたが、品質管理のためには不十分であり、データベース全体の品質を維持・管理する必要がある。
? 基準点データとGPS測量
将来、庁内における共用データとして、複数部署での利用が考えられるものに基準点データがある。また、この基準点計測のための技法として、現在、GPS測量が注目されている。この基準点とGPS測量について、理解を深めていくことは、将来重要な意味を帯びてくるものと考えられる。(付録B(4)参照)