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タイミングが次年度となるケースもあり、時間精度の面で品質が高いデータではない。一方、固定資産関連の地番家屋データは、一年に一度、タイムラグを短くして更新されている例が多い。これらを踏まえ、空間データの更新は、実際に更新サイクルが短く、時間精度のより高い共用データを中心として実施していくことが、当面においては現実的であろう。

また、共用データを一括管理していない場合には、共用データの維持更新に当たって関係部署間での連携が必要となってくる。連携の仕組みは、庁内において徐々に確立されていく性格のものと考えられ、時間をかけて構築していくことが現実的であろう。

以上の側面を考慮すれば、統合型GISを構築していくためには、地方公共団体において、データを維持更新する体制を段階的に整備することが、現実的に求められてくるものと想定される。具体的には、以下の三段階に沿った発展形態が考えられる。

 

(1)データ更新の段階的な発展

●連携体制が未整備の段階

この段階では、各部署において必要に応じ、定期的にデータが更新されている。しかし、部署間での共用データ更新に関するコーディネーションは行われていないため、各部署間でのデータ更新時期は基本的に一致しない。例えば、固定資産税部門では1年ごとにデータ更新が行われるが、都市計画部門では5年ごとにデータ更新が行われ、お互いに連携が図られていない場合である。このような更新時期のずれは、当初、各部署が自らのニーズに基づきデータ更新を行っている限り、必然的に発生するものと考えられる。このようなタイムラグを補う手段として、定期的な更新以外に、データの変更内容が判明した時点で部分的に更新をかけ、その改修データ部分を「仮置き」していく暫定的な対処方法が取られていくこととなる。

例えば、固定資産税部門で道路拡幅に伴う筆界の変更を入力する際、道路境界データが道路管理部門から同時に入手できるとは限らない。そこで、固定資産税部門が、道路境界における一部分の筆界データを登記所からの分合筆に係る連絡に基づき入力することになる。この場合、道路境界に係る筆界データが「仮置き」ということになる。そして、固定資産税部門は、正式な道路境界データが道路管理部門から入力された時点で、筆界データの調整を行うことが必要になる。

さらに、道路管理部門は、正規のデータの入力が行われた時点で、固定資産税部門に連絡するようにしておく必要がある。こうした対応をとることは、連携体制が未整備な段階での最低条件となる。

このように、各部署間での連携体制が整備されていないと、明らかに複数部署で同じデータの重複入力が必要となり、無駄が生じることとなる。現在、GISを導

 

 

 

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