日本財団 図書館


統合型GISは、この膨大な空間データのうち、地方公共団体の部署間で共通に利用することができるデータを一元的に整備し管理するとともに、個々の業務での有効活用を図ることを目指すものである。これにより、各空間データ間での継続的な整合性を図り、行政内部におけるデータの相互利用を促進していくことが可能となる。

 

したがって、地方公共団体においては、統合型GISの導入により、より統合的な情報の利用と、コストの削減を図ることが期待される。

017-1.gif

(a)統合的な情報の利用

地方公共団体では、複数の部署において空間データを利用する業務がある。統合型GISにおいては、共用データを庁内で利用することにより、個別の部署におい て、共用データをベースとし、固有の空間データを重ね合せて利用することが容易に行える。このような効率的なデータベースの連結は、各部署において、統合的な情報の利用を促進する。

 

(b)コストの削減

統合型GISの構築にあたり、庁内の複数部署におけるGISの利用を見込み、主管部署の管轄の下、共用データを重複することなく整備していくこととなる。この共用データ整備の一元化により、二重のデータ整備による過大なコスト(人的コストも含む)の削減が図られ、また、利用部署間で、共用データの整備や更新コストを分担することで、一部署へのコスト負担の集中化を回避することが期待される。

以上述べてきた統合的な情報の利用促進やコスト面における期待効果は、GISの導入を検討する際においても、導入を円滑に行う要因となる。つまり、統合型GISを目標にすることで、各部署において独自に個別GISを整備していく場合と比較して、共用データをベースとした全庁的なデジタル・データ資源の有効活用と、データ整備や更新コストの分担を見込めるといった点でインセンティブが働き、よりGIS導入の合意形成が促進されるものと思われる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION