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序 章

 

(1)調査研究の背景と目的

近年、国においては、国土空間データ基盤の整備に関する動きを始めとして、GISに関する取組みが活発化している。一方、地方公共団体においても、高度情報通信社会の進展に対応した情報システムの導入が進められており、その一つとして、GISに対するニーズも顕在化してきている。

地方公共団体における地域情報化施策への取組みは、行政内部の効率化と併せ、地域の活性化及び住民サービスの向上に大きく寄与するものであるが、今後導入の拡大が見込まれるGISに関しても、住民サービスの向上に資するシステムとしての検討が求められている。

このような背景の中で、平成7年9月に政府内に設置されたGIS関係省庁連絡会議において、政府としてのGISに対する取組みに関する基本的方針が「中間とりまとめ」として公表された。そこでは、国と地方公共団体との連携強化によるGIS推進体制の整備、GISの普及啓発及び関係諸制度の見直し等の環境整備を行う必要性が確認された。これを一つの契機として、複数業務で共用可能な「統合型GIS」*を含め、地方公共団体におけるGISのあるべき姿に関しての検討が、国と地方公共団体双方において活発に進められてきている。

既にGISは、技術的には、全ての地方公共団体において利用可能な段階に到りつつある。また、経済的にも、地方公共団体への導入が促進されるレベルに近づきつつある。

したがって、地方公共団体におけるGISのあるべき姿に関するビジョン及び実現のための課題と解決の方向性等を検討することは、GISの普及を促進する観点からも重要である。

以上の状況を踏まえ、真に必要とされるGISを地方公共団体が検討する際に留意すべき点を示し、地方公共団体におけるGISの整備を推進するため、本調査研究委員会は、「統合型GIS」を地方公共団体におけるGISのあるべき姿であると位置づけ、そのビジョンを明確にするとともに、技術及び制度面での課題を抽出し、特に主要な課題に関してはその解決方策について詳細な検討を行ったところである。

 

 

 

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