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におけるGISの導入にあわせ、段階的に個別利用データの整備範囲を拡大していくこととなる。また、データの整備完了とシステム運用開始とのタイミングを一致させることが重要であり、これが効率的なGISの運用につながる。

 

(3)統合型GISへの課題と解決方向性

統合型GISの実現にあたっては、関係諸法令・組織体制・運用ルール等の制度面の課題と、データの整備・システムインフラ構築等の技術面の課題とが存在する。これらの課題に対しては、その解決に向けての具体的な取組みが必要である。特に、地方公共団体におけるGISに固有な視点から、次のような課題を検討する必要がある。

 

(a)地番・家屋データ等の庁内における多目的利用

従来、地方公共団体の固定資産税業務を中心としたGISでは、地番・家屋関連のデータが広く用いられきた。これらは、地方公共団体の他の業務においても骨格となるデータとして活用が期待され、利用ニーズが高い。GISの有効利用の観点からも、地番・家屋データの庁内における多目的利用が望まれる。

法制度面からみても、現行の法制度等では明示的に地番・家屋データの多目的利用を制限している規定等は見受けられない。今後、地方公共団体におけるGISの利用環境に合わせ、首長による承認と流通させるデータ範囲の絞り込みを行うこと等を担保に、個人情報保護に十分留意し、庁内における複数部署での利用を促進していくことが望まれる。

 

(b)住民基本台帳データと空間データとの連携

住民基本台帳システムと統合型GISとの連携は、情報システム資源の有効活用を促進する上でも、今後極めて重要な意義を帯びてくるものと考えられる。庁内での住民基本台帳データの利用を促進し、複数部署においてGISデータとの連携利用を図ることが望まれる。

しかし、住民基本台帳の住所・氏名・性別などのデータの利用に際しては、個人情報保護の観点に留意する必要がある。現行制度においては、庁内での利用に際して一定の担保を確保する必要があり、利用承認手続き・利用の際の安全保護措置等、必要なデータ管理措置を規則・要綱等により定めた上で、必要な部署において利用することが望まれる。

 

(c)既存システムとGISとの連携

地方公共団体における統合型GISの活用に際しては、住民基本台帳以外のデー夕についても、統合型GISとの連携により業務の効率化と住民へのサービス向上が期待される分野が多く存在している。既にシステム化が図られている業務においては、今後のGISとの連携が重要な課題となる。連携すべきデータの選定や、共通インターフェースを考慮したシステムインフラの整備が望まれる。

 

 

 

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