行政界等のデータが挙げられる。個別利用データとしては、共用がプライバシー保護の点で問題となるデータ、個別部署でのみ利用されるため共用の必要性がないデータが想定される。
データの整備については、項目ごとに要求品質レベルを設定していくことが必要となる。その際の留意点としては、縮尺で規定された従来の地図データ作成仕様にとらわれずに、利用者が必要とするデータ品質を中心に検討すること、また、品質に合わせて適切な作成技術を選択すること等が重要である。さらに、データ整備におけるコスト軽減については、複数部署で利用するデータを一括して作成することによる二重投資の回避が有効である。
次に、整備されたデータの適切な品質管理と保存が必要である。品質管理については、その最終的な目標は、データベースにおいて各項目ごとに適正な品質レベルを実現していくことにある。そのためには、メタデータを含めた品質評価が適切に行われることが望まれる。データの品質については、データベースの構築段階によって異なることに留意する必要がある。すなわち、データベースの初期構築段階では入力するデータの品質がそのままデータベースの品質となるが、データの更新段階では各データごとの更新目的及び範囲が区々となっている場合も想定されることから、更新用のデータの品質がそのままデータベースの品質になるとは限らない。なお、データごとの所在や品質レベルを明示していくことは、利用者にとって大きなメリットがあるとともに、データの品質を管理する上で重要である。また、データの保存管理については、安全性の確保と履歴の保持に関する仕組みの構築が挙げられる。安全性の確保とは、データのバックアップを確保しておくことにより、事故によるデータ自体の滅失に備えることである。一方、履歴の保持とは、データの更新等の記録を時系列で保存しておくことである。データの安全性の確保を図る場合には、まず、ハードディスク等の記憶装置を使い、データを二重に保存しておく方法が考えられるが、これだけでは不十分であり、ハードウェアの故障に備え、磁気メディア等によるバックアップの仕組みの整備が望まれる。
(b)システムインフラ面
地方公共団体におけるGISのシステムインフラの理想形態は、現時点では共通のインターフェースを設定した分散処理型のシステムであると考えられる。しかし、すでに地方公共団体では、GISを含めた情報システムの整備が進められている状況にあり、今後のGISの整備は、その進捗状況を十分に配慮したものでなければならない。
一般的に、新規にGISの導入を進める場合やGIS以外の情報システムの蓄積も比較的少ない地方公共団体では、初期の段階から統合型GISを念頭においたシステムインフラの整備を行い、新たなシステムが追加されるごとに、既存システム