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6) 企業内ネットワーク、データベースの整備と間接業務等のアウトソーシングの活用

今後、我が国の造船・舶用工業が国際市場での価格競争力を維持・向上していくためには、建造、製造部門等の直接工数の削減、資材費等の低減はもとり、間接部門、ホワイトカラーも含めた企業全体として生産性向上を図っていく必要がある。

個別企業の問題の色彩が強いが、企業内の組織間業務の合理化を推進するとともに、同一企業の複数造船所間での情報システム管理や総務機能等の間接業務の集約、さらには集中購買といった業務革新を進めるとともに、アウトソーシング化についても検討を進めていく必要があろう。

企業内での、?営業、工事進捗、原価、発注等の事務に関わる情報の流れの整流化と承認手続きの簡素化、意思決定の迅速化や、?設計・技術部門等における技術情報の蓄積、?品質・コストの状況監視と計画的な業務遂行等の情報を活用した管理業務は、情報ネットワークやデータベースの整備によって加速される点に留意すべきである。手続きの合理化を前提とした情報ネットワーク利用によって、遠隔地間での申請・許可・報告等の業務において処理の迅速化が可能となり、造船所の立地制約下での間接業務の生産性向上に寄与する。

このような企業情報ネットワークの整備やデータベースの整備により造船・舶用工業の各企業の情報処理能力を向上させておくことが、造船・舶用工業間で情報ネットワークを形成し、相互接続する場合の効果を高めるための条件のひとつである。

 

7) 造船関連産業にまたがる情報ネットワーク形成

巨大な建造物である船舶の設計・建造・保守等においては、造船所内の設計・建造・購買・修繕部門はもとより、舶用機器メーカー、資材メーカー、船社、検査機関等の多くの企業間で取引・設計・技術・生産・物流等の情報交換が行われている。

近年の情報技術革新は、情報ネットワークの存在とその活用を前提とした技術革新であり、これまでに述べてきたような業務革新、業態革新と情報化技術を併用した産業の競争力強化のために、造船関連産業にまたがる情報ネットワークを形成する必要がある。

 

(2) 情報化ツールの技術的側面と課題

高度情報化機能の実現のためには、業務革新を進める中で情報化ツールを援用していくといった展開が不可欠であり、前項では、業務革新手段と情報化の関連について検討した。

本項では、主に情報化の技術的側面から、高度情報化を実現するために必要な情報化ツールと現在の造船・舶用工業関連の各種プロジェクト等での機能実現に向けた着手状況、課題等を整理する。

 

 

 

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