3) 内航海運業
内航海運においては、運航効率の向上と省力化等を進める必要から、陸上からの航行支援等、運航全体を含む船舶の近代化及び荷役の省力化・迅速化へ向けた取り組みが行われているが、海運経済上のメリットが無いことから実運用はあまり進展していない。また、国内物流においては、近年道路に偏重した輸送体系となっており、幹線道路の渋滞問題をはじめ排ガス公害やCO2排出による地球環境温暖化問題の解決へ向けて、それらを内航海運や鉄道に手段を切り替えるモーダルシフトへの要求があるが、これを実現していくためには、内航海運の経済合理性をより高める必要がある。
(4) 労働力供給環境
造船業においては、1997年11月度の造船造機統計速報によれば、44工場において 31,345人の従業員が従事している。前出の、運輸省が行った造船25者に対する経営状況に対する経営状況ヒアリング結果によれば、労働者数はここ3年で
平成6年度 4.5万人
平成7年度 4.3万人
平成8年度 4.2万人
と減少方向に進んでおり(舶用工業においても同様の傾向)、年間総労働時間の総平均は
平成7年度 2,106時間
平成8年度 2,101時間
の水準を保っている。生産量に対し工数(労働者数×労働時間)が減少傾向にあるのは、生産性向上や得意船型指向によるとみられている。
韓国との比較でいえば、日本においては、90〜95年において、図表II.6.2-3に示すように微減化傾向にあるのに対し、韓国においては、図表II.6.2-4に示すように、設備の新増設を行った94年を境に本工、社外工共に大幅な伸びを見せている(主機などの主要な舶用機器について、韓国は自国生産を強化しており、同様の状況が見られる)。但し前述したように、現在韓国では構造不況の中にあり、労働者の整理解雇等が予想され、今後生産性を上げつつ労働者数を削減するという方向に進むものと考えられる。