(3) 鉄鋼構造物産業(CIMsteelプロジェクト)
CIMsteelは欧州の鉄鋼構造物産業に関する高度情報化プロジェクトで、1985年にはじまり、現在は「組立」と「建設」に関する第3フェーズに入っている。欧州における8ヵ国42企業から構成され、高度情報化に関する調査研究及び実証実験を行っている。
1) 鉄鋼構造物産の特性
鉄鋼構造物分野では設計・製造・建設期間の短縮、製品の改善・低コスト化がもとめられており、また鉄鋼製品市場の拡大、世界市場での競争力強化が大きな課題となっている。CIMsteelはこうした課題に対応するために進められているプロジェクトである。
2) CIMsteelの目的
・「利益のための情報管理」をコンセプトに、鉄鋼構造物分野で、設計/製造/プロセス管理の統合によるビジネスの優位性を広く認知させる。
・STEP(AP230)をベースとした情報モデルとシステム・アーキテクチャを開発する。
・設計手順と情報交換技術を結合し、新しい国際クラスのソフトウェアを開発する。
・共同開発国における利用を促進するための、統合され調和の取れた設計手順・ガイド等の開発を行うESC(European Structual steelwork Codes)の導入を促進する。
・資機材の供給及び仕様を合理化し、統合プロセスの一部とする。
・先進的なデータベースであるMIS (Management Information Systems)及び関連した標準の開発を行う。
・鉄鋼構造物分野に適した、費用対効果の大きいフレキシブル溶接セルと、その関連システムの開発を行う。
・生産、自動化及び建設のためのデザイン・ガイドラインを作成する。
・今日の鉄鋼構造物分野が直面している問題、及び通信・国際競争と分野の再編のような問題への対処に対する調査研究*7を行う。
3) CIMsteelの概要
図表I.4.2-2にCIMsteel Integration Standardsの考え方を示すが、情報システムの構築にあたっては、大きく、分析(ANALYSIS)、設計(DESIGN)、製造(MANUFACTURING)の3つのパートに分割されている。分析(ANALYSIS)では、それぞれの要素、要素間についてのモデル構築の検討がなされ、設計(DESIGN)ではそれぞれの部品・部材の設計、組立について研究が実施される。さらに、製造(MANUFACTURING)でパーツの組み合わせ、配置、組立等について検討がなされる。
CIMsteelの鉄鋼事業へのインパクトは次の5つのステップにより進められると考えられている。
*7 例えば、「Design for Manufacture Guidelines」では、設計者に対して、デザイン・グレードによるコストの違いについて研究調査を実施している。