(2) 航空輸送
1) 航空輸送事業の特性
?航空輸送事業における情報システムの動向は、メンテナンス(保守)、パーツ補給に関わる情報システムの観点から注目される。
?グローバルな競争を展開する中で、コスト競争力をいかに高めるかが最も重要な課題であり、メンテナンスについては、アウトソーシング(コストが安い地域へのメンテナンス外注)、専門系列会社設立といった対応がとられている。
2) 航空機運航事業における情報化の動向
?大手エアライン
メンテナンスに限らず、ジョブ管理、組織管理、事業管理のすべてにわたる情報システムを構築している例が多い。特に、メンテナンスやパーツ補給については、航空機製造メーカーやサプライヤとネットワーク化されたシステムが導入されている。
○大手エアラインの事例
香港のHAECO(Hong Kong Aircraft Engineering Company)は、キャセイ・パシフィック航空をはじめ、世界の大手、中小エアラインのメンテナンスを行っている企業で、航空機メンテナンスと企業管理を結びつけたシステム「Constellation」を構築している(同様なシステムは欧州のルフトハンザ航空等でも見られる)。
[開発の目的]
・より効率の高い企業活動計画の実現。
・新たなビジネス・チャンスの創成。
・従業員、特にエンジニアの能力の確実な把握と、企業活動へのフィードバック。
・メンテナンス効率の向上(短時間化)。
・パーツ等の管理コスト削減。
・人材・資源の最大限の有効活用。
・財務処理の効率化。
?新興エアライン/地域航空会社
新興エアライン/地域航空会社では、大手のように情報システムへの大規模な投資が困難なために、メンテナンスに関してはコンピューター関連メーカーが製造・販売しているメンテナンス、パーツ補給等に関する端末・アプリケーション・ソフトウェアをリースする形態が最近注目されている。