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1.2 立向隅肉溶接方式の選択

造船部材の立向継手は、一般的に低電流のウィービング式上進1パス溶接で施工されているが、立向溶接の高能率化を目的に高電流の適用が可能な高速回転アーク下進溶接施工について検討した。図1.3にトーチ運棒方式と溶接施工法(溶接方向と積層数)の比較を示す。上進溶接では脚長6?程度の溶接なら1パスで施工することが可能であるが、下進溶接では溶融金属の重力ヘッドを保持できないため多パス施工となる。両方式によるビード形状と溶接条件の一例を図1.4に示す。立向継手長を50?として溶接時間を試算すると、上進施工では2分30秒となる溶接時間が下進施工では約1分10秒、積層パス間のトーチ移動時間を考慮しても約1分30秒程度と大幅な溶接時間の短縮が期待できる。

 

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しかし、実ブロックで想定される過大なギャップ(3?以上)があると下進施工では脚長不足やアンダカット等の欠陥が発生しやすい。将来的に部材の組立精度が向上すれば立向下進施工の可能性はあるが現状では実用的でないと判断し、本システムでは立向溶接プロセスに部材の精度不良に対して裕度の広いウィービング式上進1パス施工法を採用した。

 

 

 

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