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(b) 曲面溶接走行機械部の形状選択

アンケート結果にも示すように、曲がりブロックの板継ぎ溶接においては現場作業性の観点から「レール走行式」よりも「レールレス自走式」の走行台車が望まれる。そこで、まずレールレス自走式簡易台車を試作し、実現性を検討した。

普通のゴム車輪式台車ではわずかの傾斜でも車輪のすべりが発生する。最大20度以上の傾斜面を安定に走行するには、ワーク面に対して垂直方向に台車を吸引する力が必要となる。溶接以外の分野に永久マグネット車輪式の台車を適用した例もあるが、溶接ではマグネット車輪に鉄粉やスパッタが車輪に付着するため実用的ではない。そこでマグネットを台車裏面に空隙を設けて装着した台車を試作し、登坂性能を調査した。

図5.5に試作した自走台車の構造と外観を示す。市販の4輪駆動式台車のゴム車輪間にマグネットを取付け、車輪のグリップ力を増すためにウェイトを搭載した。また、開先を追従させるために台車の前後に1対のガイドローラを取付けた。マグネットの吸引力やウェイトを変えて20度傾斜面での台車の牽引力をバネ側りで測定したが、牽引力は約20?fにて頭打ちとなり車輪のすべりが発生した。また、開先追従用のガイドローラも開先から外れやすく、台車の走行方向を操舵するための反力を安定に確保することが困難であった。以上の予備実験結果からレールレス自走式台車の開発は困難と判断し、レール走行式を選定した。

 

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