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5. 結言

 

以上の調査、研究結果を総括し、海象条件の厳しい外洋域における油流出事故に対応した具体的な防除資機材の選定および運用システムの可能性についてに検討を行った。また、外洋における油流出事故に対して、防除資機材、運用形態を含み今後実施すべき研究・開発とその方向性について検討した。

 

5.1 調査研究のまとめ

大規模油流出事故の防除体制、および防除資機材に関する今回の調査および専門家の国際会議を通じて得られた知見を要約すると以下のとおりである。

 

5.1.1 荒天時における機械的防除

油回収船および回収機器は多種、多様のものが存在し、それぞれ特徴を持っているが、何れも波高が高くなると回収性能が著しく低下する。現存するものでは、ノルウェーのFramo Transrec Systemが最も大波高で使用できるようであるが、これについても有義波高2.5m以上になると急速に性能が低下し、波高4m以上では事実上回収不可能である。

荒天時の防除作業に豊富な経験を持つノルウェー、イギリス、アメリカ等の関係者の話を聞いても、波高2〜3m以上の荒天では機械的回収を断念し、回収船や回収装置を待避させて、比較的静穏な条件下でのみ出動する体制を採っている。

我が国で外洋において対応可能な防除資機材は、運輸省港湾建設局の清龍丸と目下計画中の海鵬丸の代船のみであるので、これを活用する他は、むしろ静穏になった時の迅速な現場到達、防除資機材の待避場所の選定、効率的な連絡方法の確立が必要であるとの感触を得た。

またオイルフェンスについては、種々のものが実用化されているが、定置式のものを除き、回収パッケージとしてはNOFO Transrec System 350で用いているものが、またオイルフェンス単体では、RO-CLEAN DESMI社のRO-BOOM 3500が、それぞれ最も大波高に耐えるものであるが、波高4m以上では使用できないと言われている。

 

5.1.2 分散処理剤による処理

分散処理剤は原油や軽質油には極めて有効であるが、油流出後時間がたつと油が水分を含んで高粘度化し、分散処理剤の効果は急速に低下する。従って、油流出後、一刻も早く分散処理剤を散布する必要がある。

一方、分散処理剤の海中生物に対する毒性は種々研究され、また毒性の低い、いわゆる第二世代の分散処理剤が開発されており、ほとんど無害であると言われているが、漁業者や環境保護団体を完全には納得させ得るに至っていないのが現状である。結局分散処理剤の使用と効果評価は、未処理の流出油と分散処理剤のどちらが海中生物に対して有害かという判断にかかっている。

分散処理剤の使用については、積極的な国(イギリス)から消極的な国(ノルウェー)まで国によって方針が異なるが、流出事故が発生してからこれの使用について関係機関と協議していると分散処理剤使用の機会を逸してしまうので、イギリス、アメリカ等では地域別に事前協議をして承認を得ておき、事故発生の際には、現場調整官が使用を決定できるようになっている。また、フランスにおいては離岸距離に応じて使用できる分散処理剤のの量を決めている。我が国でも分

 

 

 

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