4. 流出油拡散漂流シミュレーションの研究
4.1 概要
油流出事故発生の初期に、沿岸あるいは保全水域への油の漂着及び汚染範囲等を推定し、的確な対応に資するために、わが国の外洋に面した沿岸海域を対象とした流出油の挙動・性状変化を予測する必要性から、(財)シップ・アンド・オーシャン財団では、平成3年度から5年度に亘つて、日本財団の補助事業として「大規模油流出事故対応の防除技術・資機材の研究開発」を行ったが、その中で「流出油拡散漂流シミュレーションシステム」OSSS(Oil Spill Simulation System)を開発・製作し、実用に供してきた。
本年度は、その後当財団の研究で明らかになった油の風化モデルに関する新しい知見1)を導入し、対象海域として新しく対馬海峡海域を加え、更にコンピュータ関係ハード・ソフト環境の進歩を考慮して、このシミュレーションシステムの改良を行った。
研究の内容は次のとおりである。
(1)対象海域の追加。
(2)パーソナルコンピュータの採用と利用効率の向上。
(3)風化モデルの改良に伴うプログラムの変更。
(4)システムの有効性の検証。
以下にこれらについて従来のシステム(以下旧システム)からの変更点を中心として説明する。なお、旧システムの内容は前記研究開発の各年度報告書に記載されている他、それらを取りまとめた「まとめ」2)に新しい風化モデルの解説と共に概要が述べられている。
4.2 対象海域
対象海域として、従来の四国・紀伊水道海域、相模湾・伊豆大島海域に加えて、新しく対馬海域を加えた。
4.3 システムの構成
本システムは、現時点で広く普及していると考えられるWindows95(Microsoft社の登録商標)を搭載したノート型のパーソナルコンピュータ(以下パソコン)を中心として構成した。その外観を図4-1に示す。