日本財団 図書館


?航空機

航空機による分散処理剤の空中散布には、迅速性、監視の優位性、高処理率、処理剤の適正使用、分散処理剤処理の評価、等、多くの利点がある。空中散布に適するのは未希釈で散布する濃縮型分散処理剤だけであるが、これは波動による混合のみで処理剤を適用するためであり、従い有効搭載量が最大限に活用できることになる。

航空機はその規模、形式が様々であるが、いずれの機種においても油処理作業に稼動するためには天候による制約を受ける。航空機の安全運行、流出油の視認等に必要な視界の確保だけでなく、この手法が波動による流出油の分散という原理に基づいているため、海面が平穏な条件下では効果がない。

ヘリコプターおよび単発・双発・4発の固定翼航空機はそのほとんどの種類が分散処理剤の空中散布に使用可能である。

 

(4)作業コントロール

海上における流出油処理作業においては、船舶の移動と作業のコントロールおよび油層が最も厚い区域で作業が実施できるように手配することである。一般的にこの問題への対応策は海上と航空機関の通信によって解決できる。特にヘリコプターの使用はその機動性に加え、対象区域上空でホバリングできること、また固定翼機と異なり長い滑走路を必要としないため対象区域から近い基地から対応できる点が長所とされている。

 

3.4.2 沿岸作業

(1)発生源の包囲

油の流出中の船舶、施設等の発生源の近隣区域でオイルフェンスを展張し、流出油を包囲する、また作業中のタンカーの周囲にオイルフェンスを展張する等の対策は、沿岸域において海岸漂着を防止する場合等には有効な手段である。しかしながらオイルフェンスの常時展張は気象、海象等に制限を受けるため実際的ではない。また、展張位置が流出源に近すぎると火災等の事故を誘発する可能性もある。さらに流出油が自然に消散するような状況下での展張は、water in oilエマルジョンの生成を助長する可能性も含んでいる。このように沿岸域における発生源包囲を目的としたオイルフェンスの展張には、その状況に応じて展張の適・不適を判断する必要がある。

 

(2)影響を受けやすい地域の保護

沿岸域における流出油対応においては、海岸が近い場合が多いので、流出油の海岸漂着の影響を受けやすい地域を保護する必要がでてくる。入江、湿地帯、アメニティ地域、取水口等、すべてを保護することが望ましいが、これが不可能な場合には、保護対象区域の優先順位を考えて展張計画を立案する。オイルターミナル等、固定施設では流出源、規模、油種等を予測することが可能であるため、前もって展張計画を立案しておくことは重要かつ効果的である。

 

(3)油の進路変更

影響を受けやすい地域の保護を実施するに際して、水流が強く、流出油の包囲、回収が困難な場合には、オイルフェンスを用いて油の進路を変更、比較的静穏な海域へ誘導後回収する方

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION