進するために界面活性剤とオレイン酸を含有している。この生物分解剤は、Exxon Valdez号流出事故でCustomblen(アンモニア硝酸塩、カルシウムリン酸塩及びアンモニアリン酸塩で構成)とともに使用され、その後もいくつかの事故での使用実績を持っており、世界における標準的な生物分解剤として知られている。
Oppenheimer社の生物分解剤は、1990年のMega Borg号原油流出事故、日本では、Nakhodka号重油流出事故において兵庫県の海岸地帯で実際に使用されている。Nakhodka号事故における効果はまだ明らかではないが、Mega Borg号事故では有効性が確認されており、EPAに商品登録されている。
また、Alpina Ambiental S.A.社のOIL GATORは、自然発生の有機物と栄養塩を含んだ廃棄物の再利用から生まれた油処理剤で本来土壌中の油の生物分解に応用されていたが、海面の流出油にも応用可能な製品であるとともに、毒性のない処理剤として知られている。
生物分解剤は、その効能の発揮に時間がかかるものであるというイメージが強いが、これらの栄養塩薬剤を油の流出エリアに散布することによる炭化水素の速やかな減少が確認されており(Prince, 1993)、今後の流出油処理手法における新たな方向性のひとつを示すものである。