(4)生物分解剤
流出油等の有害汚染物質で汚染された環境を微生物を用いて修復する技術は、バイオレメディエーションと呼ばれている。石油分解微生物は、その餌料となる油分及び窒素やリンといった栄養塩が十分あれば増殖して、油を水と二酸化炭素に分解して無害化する作用を持っている。元来、海洋は自然浄化能力を備えているが、栄養塩の不足等により環境修復には長期間を要するため、自然界に存在する微生物が油を分解しやすいように、不足する栄養塩を散布して油の分解速度を速めることにより、修復に要する期間を短縮するのがバイオレメディエーションである。近年バイオレメディエーションが注目されるようになるにつれ、これを促進するための栄養塩薬剤である生物分解促進剤が開発されてきた。
これらのうち代表的な製品について表3-2-20に示した。同表中、Inipol EAP22は、1978年、フランスで発生したAmoco Cadiz号油流出事故後、Elf Aquitane社により開発された親オレイン系栄養塩剤である。Inipol EAP22は、三価リン酸塩と尿素で構成され、油中への混入を促