外洋で使用可能とされている吸引式油回収装置のうち典型的なものの仕様について表3-2-6(1)に示す。日本国内では吸引式油回収装置の専門メーカーはなく、外国製品を輸入しているのが現状である。表中、FrankMohn Flatoy AS社のTransrec.System350:Skimmer unitは、同社のディスク式、ベルト式スキマと合わせた回収パッケージとして現在、世界各地に広く配備されている。また、同じくFOILEX社のTDS 250 0CEAN SKIMMERは、湾岸戦争での使用実績がある。
表3-2-6(2)に示したRO-CLEAN DESMI社の吸引式油回収装置は、典型的な容積ポンプであるアルキメデス型スクリューポンプを組み込んだ製品である。負圧部の高い密閉性により10barの吐出圧を確保し、100万cSt以上の高粘度油や泥土を回収することが可能である。また、回収油の圧送ホース長が長くなる場合に生ずる摩擦損失が小さく、回収油の遠距離や高所への移送を可能にしている。浮遊物は、ポンプに装着されたカッティングナイフにより細断され、回収されるが、ポンプのホッパー部に装着されたスキマーアダプタにより油吸入口位置が油層内に収まるように自動調整されるため、低粘度油の回収も可能である。