この方式では、複数機分のトラフィック情報をまとめて送るため「個別送信」に比べメッセージ当たりの通信効率が良い。
ただし、この方式では地上側で位置通報を一旦蓄積しまとめて送信するため、ある航空機が位置通報を送信してから他の航空機にトラフィック情報として届くまでのタイムラグが大きくなる。
この方式の場合も、遠方の航空機のトラフィック情報は無意味であるため、地上側では、送信する航空機の現在位置に対して周辺に存在する航空機のトラフィック情報のみを提供するための絞り込み処理を行う。
なお、レーダーよりトラフィック情報が取得できることを考慮した場合、航空機からの位置通報に比べ、かなり短い周期(数秒程度)で周辺空域のトラフィック情報が一度に取得できる。しかしながら、ACARSを利用した空地データリンクにより情報を送信する場合には、データの送信間隔をそれほど短くできないため、このような蓄積送信方式によるトラフィック情報の提供になる。
(c)擬似トラフィック情報の提供
評価試験の際、実際に複数の航空機に機上評価装置を搭載して実験することが困難であることも想定できるため、地上評価装置側において擬似的にトラフィック情報を生成して提供する機能を設ける。
擬似トラフィック情報は、あらかじめ用意されたシナリオに基づき、あたかも航空機からの位置通報があったかのように振る舞うものであり、その情報には、時刻、緯度、経度、高度といった基本情報に加え、速度、進行方向、昇降率といった付加情報も提供可能とする。