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5.4 機上側の検討事項

 

試作評価システムで開発するアプリケーションの仕様は機上評価装置のハードウェアにより大きく規定される。本節では機上評価装置の主な構成であるACARS通信部、データ表示部、データ処理部の候補となる既存ハードウェアの比較検討、および各アプリケーションを実現するうえで機上評価装置に必要とされる機能について述べる。

 

5.4.1 機上評価装置の候補

 

本研究ではハードウェア開発を目的としないため、既存の小型機搭載用ハードウェアを組み合わせる形で機上評価装置を構成する。本項では各部の候補となる装置について比較検討する。

 

(1)ACARS通信部

機上評価装置のACARS通信部には小型機搭載に適した既存のACARS通信機を利用する。機上評価装置のACARS通信部としては以下の条件が求められる。

・寸法、重量、電力の面で小型機に搭載可能であること

・外部機器とのデータ入出力が十分可能なインターフェースを持つこと

・システム構成費用が低額であること

従来は大型機搭載を前提とした大型で高価格のACARS通信機しか存在しなかったが、近年は物理的・コスト的に小型機搭載が可能な製品も幾つか開発されている。しかし各製品とも単にACARS通信(文字データの送受信)を行う機能はあるが、ACARSを利用して新しいアプリケーションの開発・評価を行うにはインターフェース面で問題がある。従って機上評価装置のACARS通信部の候補を選出する際にはインターフェースの改修によるアプリケーション開発可能性と改修費まで含めたコストのトレードオフを図る必要がある。

実際に小型機に搭載可能であるACARS通信機としてMAGELLAN社CNS-12、UNIVERSAL AVIONICS SYSTEMS社UL-600/UNS-1Cを調査し、比較した結果を表5-10に示す。

 

(a)CNS-12

CNS-12はACARSの通信モデム機能の他にGPS受信機、表示器、キー入力部、VHF無線機がコンパクトに一体化された製品である。しかし、一方で外部機器とのインターフェースが十分ではなく、送受信可能なACARSメッセージの種類が限定されているため、機上評価装置としての開発自由度は大きく制限されている。

 

(b)UL-600/UNS-1C

UL-600はACARSの通信モデム機能を持つFMSのコントローラであり、UNS-1Cは表示制御機能を一体化した小型のFMSであるUL-600を使用する場合には、ACARSのモデム部分の機能しか持たないため表示制御器を別に付加するか、データ表示部にUL-600のための表示制御機能を持たせる必要がある。

 

 

 

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