表示制御器を別に付加する場合、UL-600には専用の表示制御器(これを接続したものがUNS-1C)があるが全体としての寸法が大きく、小型機への搭載が難しい。
データ表示部にUL-600のための表示制御機能を持たせる方法では、同じく既存のハードウェアを利用するデータ表示部のソフトウェア改修規模が大きくなり、さらにデータ表示部には文字入力のためのキーがないため操作性が悪くなるという問題がある。
また、UL-600、UNS-1Cともに外部からリモートコントロールで周波数の設定や送受信の制御を行えるVHF無線機が別途必要になる。
(2)データ表示部
既存の小型機搭載用GPSマップディスプレイ装置を利用する。小型機搭載用GPSマップディスプレイ装置は既に数種類が市販されており、代表的な装置の機能、特徴を表5-11に示す。マップディスプレイ装置には2次元の平面地図のみを扱ったものと3次元の標高データを扱えるようにしたもの、さらにはヘディングアップ表示(機首方向を常に上に表示すること)を可能にしたものなど様々な機能上の違いがあり、さらには他の機上搭載装置とのインターフェースにも様々な違いがある。
マップディスプレイ装置をデータ表示部として使用するためには、気象データやウェイポイントなどをリアルタイムにヘディングアップ表示できることが望ましく、さらにICS(機内通話システム)、気圧高度計とのインターフェースも必要条件となる。
(3)データ処理部
データ処理部は、ソフトウェア開発の容易性やハードウエアの標準化を考慮して、市販のノートパソコンを利用して構築する。
一般のOA環境用ノートパソコンの場合、バッテリーでの長時間駆動や処理性能、コストパフォーマンスでは優れているが、耐環境性の問題が最もネックになる。だが、ディスプレイも含めてコンパクトな構成になっていることやバッテリーでの駆動を考えると、一般のBOX型パソコンに比較してメリットは大きく、評価試験においては耐環境性の問題を除けば最も使いやすいパソコンである。耐環境性については、シャーシでの工夫や使い方を注意することによって十分対応可能である。