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(2)データ区分

飛行中の小型機パイロットが最も関心のある情報の一つは目的飛行場(および周囲の飛行場)がVMCかIMCかということである。METAR自体は1つの飛行場、1回の観測について100文字程度の長い電文であり、操縦中のパイロットが電文を読んで中に含まれる視程と雲の情報からVMCかどうかを判定することはワークロードが大きく、またヘッドダウン時間が長くなるため安全面で問題となる。そのため地上評価装置においてMETAR情報から視程・シーリングの情報を抽出し、その値からVMC/IMCを判断して機上に伝送することとする。

またIMCであってもSVFR(VMCの条件を満足しないが視程1500m以上である場合に管制機関の許可を得て実施する特別有視界飛行)が可能な気象状態が存在する。VFR機はSVFRが可能な状態であれば着陸が可能であるため、特に区別して報知する方法が考えられる。また、パイロットとしてはVMC/IMCの結果だけではなく視程・シーリング個々の情報に対するニーズも存在する。詳細設計においてはパイロットニーズと機上ハードウェアの能力を考慮してあらためてデータ区分について検討することとする。

データ区分の例として、3章で紹介したARNAV社はアトランタオリンピックの際のトライアルで表5-7のようにMETAR情報を区分している。

 

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これを参考として、例えば視程・シーリングから各飛行場の気象状態をVMC、SVFRが可能なIMC、およびSVFRが不可能なIMCの3段階に区分(略称としてVMC/SVFR/IMCで表現する)する場合は表5-8のようになる。

 

129-2.gif

 

(3)表示

METAR情報は、パイロットが容易に着陸可能かどうかを判断できることが重要となる。この意味では、図5-10のように文字で区別するのではなく、例えば図5-11のようにカラーによる色分けを行い、着陸不能のものが目立つようにする必要がある。

129-3.gif

 

 

 

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