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5.2 試作評価システムの構成

 

5.2.1 データリンクシステムの選択

 

試作評価システムにおいては、空地データリンクとしてVHFデータリンク(ACARS)を通信システムとして採用する。ACARS自体には以下の制限がある。

・キャラクタ(文字)データしか送受信できないこと。

・通信速度が2400bpsと低速であること。

・アドレス指定型のみのデータリンクであること。

・航空機関(空対空)の通信ができないこと。

・メッセージの送信頻度が制限されること。

・小型機用のACARS通信機の種類が少なく、また寸法・重量・価格面で小型機が搭載するのは難しいこと。

従って4章で述べたようなアプリケーション全てを完全な形で実現するのは難しく、将来的には他の通信インフラで地上支援システムが構成される可能性がある。しかし、

・空地データリンクとして実績があり、地上インフラ設備が整っていること

・ARINC、ARNAVなど複数の通信インフラが競争できるだけの需要がある米国と異なり、日本のように需要が限られている場合、通信インフラは現状あるものを利用するのが現実的であること

・将来的には地上支援システムに衛星通信技術を欠くことができないが、インマルサット衛星やMTSATは当面ACARSをサポートしていくのが確かなこと

・現在のACARS上で実現されているアプリケーションがADS等に限られており、アプリケーション開発の余地が残されていること

・将来的に他の通信インフラで地上支援システムが構成されるとしても、そのシステムがどのようなアプリケーションを提供すべきか、そのためにはどのような機能要件が通信インフラに課されるかを評価するのが重要であること

などの理由から、本研究では現状の通信インフラで最大限のパフォーマンスを発揮するアプリケーションの実現を目指すこととする。

 

5.2.2 全体構成

 

図5-1に試作評価システムの全体構成図を示す。試作評価システムは、大きく地上評価装置と機上評価装置に分類される。

 

 

 

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