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5. 試作評価システムの開発

 

本章では最初に次年度以降に行われる評価試験の目的を明確にし、試験で使用する試作評価システムの全体構成について述べる。さらに第4章で述べたデータリンクアプリケーションの分析と、現時点で利用可能な通信インフラやハードウェア等の制限を考慮しながら、試作評価システムで実現すべきデータリンク機能(アプリケーション)について検討する。また最後に評価試験を行う際の法制度上の課題についてまとめる。

 

5.1 評価試験の目的

 

本節では昨年度までの研究の流れを確認し、次年度以降に行われる評価試験の目的について述べる。

 

(1)前研究との継続性

昨年度まで3ヶ年に亘って航空振興財団にて実施された「簡易運航管理のための小型機搭載用衛星通信・航法装置の開発に関する調査研究」では、機上ハードウェアに焦点を絞り、人工衛星およびデータリンク技術を利用した小型機搭載用機上装置の試作を行った。

これをうけて本年度から新たに実施することとなる「小型機運航に対する地上支援システムのあり方調査・研究」においては、機上装置と地上支援システムの連携に焦点を絞り、小型機運航においてどのようなサービス(アプリケーション)が必要か、またそのためには地上支援システムにはどのような機能が必要か洗い出すことを目的としている。

 

(2)評価試験の目的

小型機・大型機を問わず将来の地上支援システムには、既存のデータリンク技術よりも高速、大容量のデータ伝送を実現する新しいデータリンクシステムが適用される。しかしそのデータリンクシステムで実現されるアプリケーションは大型機向けのものと同じではなく、小型機運航独自のアプリケーションが提供される必要がある。

以上の理由から小型機運航に対する地上支援システムのあり方の調査・研究は次の2段階に分けることができる。

 

(a)小型機運航に対してどのようなサービスを提供すべきか。そのためにはどのような機能が地上支援システムには必要か。【アプリケーションの開発・評価】

 

(b)上記の機能要件を満足する地上支援システムをどのように実現すべきか。そのためにほどのような技術が有効か。【通信システムの開発・評価】

 

次年度以降の評価試験では上記(a)に焦点を絞る。具体的には第2、3章で述べた現状および将来動向の調査結果をもとに検討したアプリケーションを現状の通信インフラ技術で実現可能な範囲で試作し、その有効性と機能要件の検証を実運航に近い形の試験形態で行う。

 

 

 

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