(2)TAとRA
航空機に対するトラフィック情報提供は次のように分けられる。
・TA(Traffic Advisory:交通状況アドバイザリ)
・RA(Resolution Advisory:回避アドバイザリ)
海外の各研究開発事例におけるトラフィック情報提供はTAに限定しており、RAの提供は実施していない。これはトラフィック情報提供のデータソースが地上レーダーであるためにデータ更新周期がレーダー更新レートに規定されるためである。現状のレーダー更新レートが約5秒程度であることを考慮するとRAを行うには空対空の放送型データリンク(ADS-B)の方が適している。
(3)機上での表示・警報
VTRではパイロットは外界を見て飛行している。そのためトラフィック情報をパイロットに提供するためには機上装置には次の点に注意する必要がある。
(a) 音声警報の利用
VFRではパイロットは外界を見て飛行している。そのためトラフィック情報の危険度に応じて警報など用いてパイロットへ報知する必要がある。例えば、自機から距離何マイルかに他機が接近した際に、「12時方向、距離5NM」と音声合成処理で、報知するのが望ましいと考えられる。
(b)機上マップ表示の利用
パイロットが他機位置と自機位置の関係を視覚的に把握するためのマップ表示が必要である。その場合、単に他の航空機の位置だけではなく、航空機の動きが確認できるように、高度差や進行方向、対地速度、昇降率などがグラフィカルに表示されることが望ましい。