2.2.2 通信装置
(1)現状と問題点
現在、ヘリコプタなどの小型機は、VHF音声通信により航空交通管制機関等と通信を行っている。地上では、パイロットからの音声による位置通報やレーダによって運航監視が行われているが、低高度や山間部での飛行では無線やレーダのブラインドとなり情報提供、監視とも十分に行えないのが現状である。またVHFの通信では到達距離が短く、特に低空を飛行する小型機では通信の安定性が大きな問題となっている。
(2)衛星通信の導入
上記の問題を解決する方法として期待されるのが衛星通信技術である。現在、静止衛星を利用したサービスがインマルサット衛星を利用して行われており、近い将来打ち上げが計画されている運輸多目的衛星MTSATも利用可能となる。これらは静止軌道(GEO:Geostationary Earth Orbit)であるため衛星までの距離が大きく、大きな送信出力を必要としている。このため機上装置が小型化できず価格も高価になっている。最近導入されたインマルサットAero-?サービス用の機器はやや小型であるが、まだまだ安価な水準になっていない。
最近の衛星利用としては、低軌道(LEO:Low Earth Orbit)および中軌道(MEO:Medium Earth Orbit)衛星を利用した衛星電話システムが開発されつつある。LEOおよびMEO衛星は静止衛星よりも低い軌道を回るため、小さい送信出力の小型で軽量かつ安価な機器を作ることができ、小型機にも利用が可能になる。計画中のLEO/MEO衛星電話システムを表2-3に示す。これらの中で、イリジウムについては航空用衛星通信のサービスも計画されている。航空用衛星通信システムの比較を表2-4に示す。
Alliedsignal社が開発中のイリジウム用機上装置は現在のAero-I用装置より安価になると言われている。装置はARINCのMCUサイズの形状寸法すなわちジェネラル・アビエーション用の形状寸法でバッケージングされる。