(3)データリンクの導入
衛星通信技術と同時に将来の航空通信において中心となる技術はデータリンクである。ここでは航空通信において最初の空地データリンクシステムであるACARS(Aircraft Communication Addressing and Reporting System)について述べる。
(a) ACARSの概要
ACARSは運航管理通信の高速化・正確化のため、1979年ARINC社が導入したVHFデータリンクシステムである。その後ACARSは多くの航空会社に受け入れられ1984年にはSITA、1987年にAIR CANADAがVHFデータリンクサービスを開始した。日本においてもB747-400型機の導入にあわせてアビコム・ジャパン(株)が設立され1990年4月よりサービスを開始した。同年12月にはKDDの衛星通信サービスと接続し、国内航空会社に対し衛星経由のデータリンクサービスも行っている。近年は一部管制通信への適用も始まっており、日本においても1997年よりADS(Automatic Dependent Surveillance:自動従属監視)トライアルが行われている。
(b) システム構成
図2-2にACARSのシステムの構成を示す。ACARSは機上サブシステム、RGS(Remote Ground Station:無線地上局)、DSP(Datalink Service Provider)および航空会社、管制機関のホストコンピュータを結ぶネットワークで構成されている。またVHFの届かない洋上においてはインマルサットの衛星を利用することによりGES(Ground Earth Station:衛星地球局)経由でデータリンクが可能である。日本においては主要空港40個所および山頂にあるNTT中継所8個所の合計48個所にRGSが、また山口県にKDDのGESがある。