最近の小型機運航におけるGPS利用状況
(a)GPSの装備状況
小型機運航に利用されているGPSは以下のように大別される
・機体搭載型(固定型)
・ハンディ型(携帯型)
・カーナビをそのまま機上に搭載したもの
ハンディ型GPSは簡易地図表示機能や航法援助施設のデータベースであるJeppesenを利用可能なものがもっとも多い。ハンディ型のGPSには航空用のものが有り、それには地図がついている。「機体搭載型はTSO-C129取得のものが多いが高価なためあまり搭載されていない。また低価格である自動車用GPSナビゲーション(カーナビ)を搭載している場合も有るが、地図が航空用ではないことと速度制限(約95ノット)が一般にあるため、航空用には向いていないとのことであった。
(b)運航形態毎のGPS利用状況
・人輸、空輸(フェリーフライト):利用している。
・薬剤散布:GPSを見ている暇が無いため利用しない。
・物資輸送:片道が3分程度で、飛行コースが既知であるため利用しない。
・報道取材:ほぼ100%ハンディ型GPSを利用している。地上で目的地の緯度経度を計算し、無線で座標を機上に連絡、機上でGPSに座標を入力するといった形で利用されている。報道取材や警察などが市街地上空を飛行する際には、ハンディ型GPSとカーナビを2台搭載(カーナビは後部座席)して、ハンディ型は目的地周辺までのナビゲーション用、カーナビは目的地上空での現場特定用といった形で目的別に使い分けている
(c)航空用ハンディ型GPS
画面表示は、一般に下記の3種類が基本となっている。実際の画面は非常に小さいが、パイロットの感想では従来までの航空地図に比較すると字が大きくなっているため特に問題ないとのことであった。最近はさらに文字表示が大きくなり見やすくなる傾向にある。
・数値データ画面
表示項目:WPT距離/方位、予想到達時間、対地速度、燃料消費等
・HIS/CDI画面
HIS:Horizontal Situation Indicator、水平位置指示器
CDI:Course Deviation Indicator、コース偏位計
・チャート(地図)画面
データベースは、ハンディ型においても航空用のJeppesenデータベースが利用可能なタイプがある。Jeppesenデータベースはインターナショナル版/米国版の2種類しかなく、データ更新料が高価であるため個人用など運航目的によってはマニュアルでWPTを入力可能であれば特にデータベースが必要ないとのことであった。
(d)GPSの精度・信頼性
パイロットのGPSの精度、信頼性についてのコメントを以下に示す。
・緯度、経度に関しては十分満足しているが、ハンディ型GPSの高度は精度的に不十分であり、ほとんど利用しない。
・東京、大阪、名古屋など携帯電話が広く使われている都市部上空ではハンディ