(3)航空局のGPSによる運航基準について
平成9年12月に制定された「GPSを有視界飛行方式に使用する運航の実施基準」では、航空機が有視界飛行方式にGPSを補助的に使用し、運航する場合のGPS装置、運航方法の基準等を定めている。これによって、日本でははじめてGPSが補助的にではあるが航法に使用することが出来るようになった。この中では、GPSを航法装置として使用する場合に満たさなければならないGPS装置に対する技術基準が具体的な数値および規定(FAA TSO-C129/TSO-C115b等)を示すことにより提示されており、特に位置算定誤差については、95%確率で0.124NM以下という基準を、地上試験および飛行試験により検証することを義務づけている。これに加えて、この実施基準においては、基準への適合確認および飛行規程、標識の貼付に関する規定が示されている。
なお、この基準は平成10年1月1日から適用されている。詳細については付録3に本基準の全文が掲載されているので参照されたい。
(4)小型機におけるGPSの利用状況
トヨタの小型機事故以来、VFRの安全性向上について具体的な方策を見出す必要性があるとの提言が事故調査委員会からなされている。全空域において高精度の位置情報を提供するという機能面とともに、安価で小型軽量というGPSの特徴はVFRの安全性向上に大きく寄与する可能性がある。日本では、1998年1月からVFR、IFRの両方においてGPSの補助的利用が認められ本格的実用化を迎えて小型機の航法装置の1つとして急速に普及が進んでいる。ここでは最近の小型機運航におけるGPS利用の実態についての調査結果を記述する。