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(1)運航率

現状のVFRの飛行においては、天候上の問題で運航できないケースが非常に多い。低視程時においても運航が可能となること、また特に定期運航においては、それにより運航の定時性を確保することができることが重要となる。

 

(2)運航の安全性

機上に気象レーダを搭載している小型機は希少であること、また海外調査報告において記述しているように、低高度を飛行する場合には気象レーダを搭載していても、電波の地上での反射により悪天候の判断を行うことが難しい状況にあることから、小型機運航に際しては、離陸後の気象状態の変化を知ることが困難な状況にある。また、ACAS等の高価な衝突防止装置を搭載することが困難であるため、周辺の交通状況の把握および衝突回避はパイロットのSee and Avoidのみに頼ることになる。これらの問題を解決し、安全性の向上を図る必要がある。

 

(3)通信のブラインドエリア

(1)および(2)の問題を空地の通信によって解決するとした場合、わが国には山岳地帯が多く存在するため、低高度を飛行する小型機には地上の送受信施設とのコネクションを確保できなくなるいわゆる「通信のブラインドエリア」が存在する。これを大幅に改善するためには、衛星通信等の方法を採用する必要があると考えられる。

 

特に安全性の問題に関しては、パイロットが飛行コース等の判断を誤り視界が悪い中を低高度で飛行したのが原因となった平成9年1月のトヨタ自動車所有ヘリコプタ対地衝突事故に対して、運輸省航空事故調査委員会の建議が出されている。この建議の要旨を以下に示す。

・有視界飛行方式では、気象判断の重要性を認識する。

・経路の気象状態を機長に的確に提供できるようにする。

・気象が悪化したときは、早期に引き返す等の適切な処置を講じる。

・特定の経路と最低飛行高度を設定する。

・気象悪化の緊急事態に備えて、機長は計器による飛行ができるようにする。

また同様に、平成9年8月に竜ヶ崎で発生した民間小型機と自衛隊機との衝突事故については、地上、機上ともに周辺航空機の情報の把握に問題があったという指摘がなされ、これをきっかけに、平成9年12月18日、AICに「飛行場等の周辺を有視界飛行方式により飛行する場合の安全対策について」の項目が追加された。この中では以下ような内容が記述されている。

・飛行場等の周辺を有視界飛行方式により飛行する場合には、他機との衝突防止のため、無線電話により自機の位置や進路等を飛行場等の管制機関等に通報するとともに、他機の交通情報を入手するよう努め、見張りを十分に行うことが重要である。

・飛行場管制業務の実施、管制通信業務の実施、および飛行援助用航空局の運用が行われている飛行場等においては、無線電話により以下の要領で交通情報の授受を行

 

 

 

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