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地方公共団体への国の権限委譲

 

(1) 権限委譲の原則

後見監督(tutelle)の禁止:地方分権法が地方公共団体に対する国の後見監督制を撤廃したことは先に述べたが、権限配分法はさらに地方公共団体の地方公共団体に対する後見監督をも一切禁止した。この結果、地方公共団体間の紛争の調停者となりうるのは国のみに限定された。

権限の一括委譲:諸々の権限を分野ごとに一括し、その性質上最もふさわしいレベルの地方自治体へ委譲。これにより、州は、域内の開発・整備、職業教育・研修、高等学校の管理、文化等に関すること、県は、農村整備、社会事業、商・漁港、都市圏外通学用輸送、中学校の管理等に関すること、市町村は、都市計画、小学校及び幼稚園の管理、都市圏内通学用輸送、図書館等に関することを行う。

(2) 権限委譲のシステム

権限配分法は、ただ単に国の権限を地方自治体に委譲することに止まるだけでなく、それを1つのシステムとしてとらえ、委譲に伴う財政措置、行政手段の移管等についても規定している。

?@財源補償税源の移管(県・州のみ)と交付金の交付の2つの方法によって行われる。

?A人的手段の付与  ?B物的手段の付与  ?C国に対する義務

 

市町村長及び助役の地位

 

?@ 被選挙資格制限及び兼職禁止

原則として、満21歳以上の市町村議会議員はだれでも市町村長又は助役になりうるが、議員に適用される規定のほか特別な制限がある。

?A 身分

市町村長及び助役は、行政執行に伴って生じた事故についての民事上、刑事上の責任を免れる。市町村長及び助役は、その職務に対し報酬が支給されるほか、交際費の支給及び出張旅費その他の実費弁償がなされる。

?B 任期

死亡又は自発的退職の場合を除き、市町村長及び助役の任期は、他の議員の任期と同じく6年である。市町村長及び助役は議会に対して責任を持たず、議会は、不信任投票によってかれらを免職することはできない。その代わり中央政府は、上級機関として、また行政監督の上環として、かれらがその職務を怠った場合に一連の制裁を行う権限を有している。

 

フランスの人口別市町村数

 

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