しかしながら、何らかの事柄について、ある他の組織体や個人に上訴の権利があって、また権利を侵害された顧客がこの権利を行使したいとするならば、先の決定を覆す目的で一上訴人は覆したいであろうが一事件を考察するように求めらているのは、上訴組織体なのである。上訴組織体は、再び事案を見る際に公平に行動し一そして公平に行動するように配慮され―なければならない。したがって、その組織体には先の決定に関係したいずれの人も含まれるべきではない。この原則が守られない場合には、上訴組織体がその手続きの公平性や不偏性においてどんな信頼を集めることも難しいであろう。
同様に、上訴組織体には、上訴の結果に重大な利害を有すると公衆によって当然考えられるいかなる人も含まれるべきではない。例えば、学校入学許可上訴委員会には、上訴が不調に終わった場合に子供が配属されるであろう学校のいかなる教員や理事者も含まれるべきではなく、当該子供に何らかの点で関係するいかなる人も、あるいは委員会の委員から排除された人物と結婚している、もしくは密接に関係しているいかなる人物も含まれては含まれるべきではない、ということがその実例であろう。
きわめて小さな組織では、上訴に関して良き実務の要件を満たすことがしばしば困難な場合がある。しかしながら、地方議会のような組織では、なんら克服できない支障は当然ないはずである。しかしながら、何か潜在的な問題を未然に防ぎ解決するために、きわめて注意深く、しかも時間どおりに予定を計画する必要性はしばしば存在するであろう。
37. 特定の個人、団体、あるいは社会の階層に対する不公平な裁量をしないこと。
これは、欧州評議会閣僚委員会によって強調されたもう一つの原則である。
裁量の自由は自ずと、地方自治体のサービスの運営に必然的なものである。あらゆる時点で利用可能な物件が存在する以上に公営住宅に多くの人たちの応募がある場合、地方議会は他の応募者よりもある応募者を選ばなければならなくなる。しかしながら、容認できないのは、不公平な裁量である。不公平な裁量を生み出すメカニズムの一つは、選出の判断が決定されるべき問題と関係ない要因に基づいてなされること、言い換えれば、選出の判断が、無関係な要因を考慮に入れることで生じる結果の一つとなるということである(公理11を参照)。そこで、例えば、住宅の必要性を参考にして住宅の供給を決定することが適切であり、応募者の人種を参考にして決定することは適切ではないのである。不公平な裁量はまた、恣意的な行為の結果として、あるいは間違いから生じうるのである。
もちろん、裁量の形式の中には(例えば、性別や人種を根拠とする裁量)、法律によって禁止されているものもある。しかし、別の形式の不公平な裁量もまた存在する。調査においてみられた事例は、以下のものである。
□地方議会が歴史的建築物の修理に補助金を支給することを断ったこと。これは、当該建