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地方議会によってなされた約束や契約は尊重されるだろうと、顧客は当然ながら期待している。そのために、軽々しく約束しないこと、約束は慎重かつ明瞭に表現すること、そして地方議会は実行可能であると確信していることのみを約束すること、といったことが重要になる。

約束の多くは、影響を及ぼすのが個人または小集団に対してであり、かつ通常は短期間だけ効力を持つような事柄の実施に関する決定や約束事に関することである。中には、地方議会が行っている政策や、地方議会が実施することを提案している行為や行わないことを約束している行為など、よりー般的で現在進行している性格のものもある。裁量権の行使に関することが含まれている事柄については、将来の議会を束縛する地方議会の能力を法律によって制限している。地方議会の政治状況は選挙の結果によって変わるかもしれないし、いずれにせよ政策や状況が変化してしまうかもしれない。したがって必要な場合には、ある約束は、限定された期間および現在の地方議会の活動だけと関連していることを明らかにしておくべきである。その他の条件についても、しばしば適切なところで述べておく必要があるだろう。例えばある約束が、資金の利用可能性、開発計画許可申請の認可、または国務大臣の承認などといった要素に左右されるということである。

一般的なルールとして、約束は実行されなければならない。もし例外的に、状況変化のためにそれがなされない場合には、地方議会は影響を受ける人々の利益を保護するための方策について考える必要があるだろう。人々は地方議会の約束に対して十分な信頼を置き、その結果出費を引き受けたり、何らかの行動をとったりするだろう。そうなると、無駄になってしまったコストについては地方議会が全て補償し、他の点についても適切に支援を行うことが妥当である。

調査において明らかになった事例は以下の通りである。

 

□何人かの人々に対して、地方議会が特別な事柄を実施する(例えば、土地の不法使用に関する強制執行、セントラルヒーティング装置の設置に対する優先権の付与、嫌がらせに関する苦情申立について行われる行為についての文書による説明)という約束をしておきながら、その約束を守らなかった。

□提案されている区画整理計画による影響を受ける地域内に存在する資産を、地方議会はそれを購入するという無条件の約束を行ったが、その後そうすることを拒否した。

□地方議会は、良好な状態にある小区画の土地を売却することについて合意していたが、その後新しい政策が導入されて、売却を実施することを拒否するようになった。この間に賃借人は計画にともなう法的な損害を被っており、オンブズマンはそれについて、地方議会が賠償を行うべきであると考えた。

□地方議会は、用地の購入予定者に対して住宅開発を認める事ができるだろうと暗示していたが、購入の後に計画許可を拒否した。オンブズマンは地方議会に対して、その土地の価値の損失分について補償するよう求めている。

□地方議会は一時的に移転するある賃借人に対して、彼女が住宅を手放すことによる支払を受けることになると通知し、彼女は自分で経費を支払った。その後、地方議会からそれが間違いであったと言われ、何の支払もなされなかった。オンブズマンは、地方議会

 

 

 

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