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決定する際に、委員会―あるいは委任された権限の下で活動する公務員―は、審議の結果として、あるいは関係公務員によって明らかにされた考えだとしても、提出されたあらゆる考えに賛成の意を示さなければならないわけではない。しかしながら、これらの考えを適切に考慮している決定者への義務がある。その考えが専門公務員(自然管理員、教育カウンセラーなど)のものである場合、あるいは関連する責任を有する他の行政官庁の場合、それらはたぶん重要であろうし、とくに慎重に考慮されなければならない。しかし、良い行政実務と公正な処理はまた、ある考えを示している他の人々、例えば計画の申請に関する公聴会(public commenting)の参加者によって述べられた主張に対して、決定者は適切な配慮をしなければならず、またそれらの主張の長所を評価しなければならない。

 

この規範に従わない事例は、以下のとおりである。

□計画の申請について高速道路庁による反対に何らまったく考慮していないこと。

口ホームレスの夫婦は医学的な理由で傷つきやすい、という医療公務員の評価を適切な根拠もなく拒否していること。

□地方議会に対して述べられた専門的な助言を考慮することなしに、子供への特別な教育の必要性についての文書を作成すること。

 

14. 地方議会の権限はその適切な目的に対してのみ行使して、何か別の目的を達するために行使しないようにすること。

 

これは欧州評議会閣僚委員会によって注意を引いた原則の一つである。地方議会が特定の目的のために委ねられた権限を有している場合でも、何か異なった目的を達成するためにこれらの権限を行使すると主張することは適切ではない。地方議会が反対する特定の集団(例えば、フリーメイソン)に利益を与えないようにするために、不公平なやり方で建物の改良に補助金を交付する権限を行使することが、その一例かもしれない。

 

15. 早まった決定や行為がなされていないことを保証すること。

 

早まった決定は協議期間との関連で起こりうる。というのも、意見を受け付けるための指定された期間が終わる以前に決定がなされるからである。

 

オンブズマンの調査によって明らかになった事例では、例えば登録建築物や保全地域に関して、法定の協議期間さえもが地方議会によって無視されていた。しかし、協議が法定のものであれそうでないものであれ、あらゆる場合において原則は同じである。十分な協議期間が認められなければならないし、地方議会はその期間の終わりまでに示された見解(および考慮すべき期間内に届いたその後のあらゆる見解)を適切に考慮しなければならない。

 

決定をする以前にすべての関係する段階が満たされているかをチェックするシステムがあると有用である。

 

 

 

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