日本財団 図書館


例外的に、既成の政策を変更した決定がなされた場合には、委員会が決定の理由に対して意見が一致し、会議録にそれらを記録すべきなのが良い行政実務慣行である。その後に、その説明が記録され、決定によって権利を侵害されているすべての人に利用されうるのである。

 

10. 適切な実務の規則や政府内の回状を考慮すること。また、そうしないことの正当な理由がある場合を除いて、規則や回状に書かれている助言に従うこと。

 

若干の活動に関しては、実務に関する(例えば、ホームレスに関して)法定の規則があり、地方議会には規則を考慮する義務がある。別の事案では、実務に関する法定ではない規則(例えば、行政審判所審議会Council on Tribunalsとの協議において地方自治体協会the local authority associationsによって出される学校入学許可の上訴appealsに関する業務規則)がある。政府内の回状あるいは実務マニュアル(practice notes)に記されている助言もある。地方議会がすべての点でこのような規則あるいは助言に盲目的に従う法的義務はない。しかしながら、この種の助言は、きわめて注意深く検討され、審議された後に練られているのであり、有益な手引として意図されているのである。それに従うことは通常賢明なことであろう。もし地方議会がそうしなければ、批判にさらされやすくなろう。もし異議申立てをされても、地方議会は、自分たちが少なくとも助言を十分に考慮していたことを、そして助言に従わない決定をした場合には自分たちにはその行動方針をとるのに正当と認められる理由があることを示せるはずである。

 

11. 決定する際に不適切な考慮がなされないように保証すること。

12. 決定する際にすべての関連する、また不可欠な要因を十分に考慮されるように保証すること。

 

欧州評議会閣僚委員会によって強調されたこの2つの点は、ウェンズベリー事件Associated Provincial Picture Houses Ltd v Wednesbury Corporation(1948) [訳者注:映画館の日曜営業の許可を青少年の日曜入場禁止という条件をつけて自治体が与えたことを違法と争って敗れた事件]において概説された概念が知られるようになるにつれて、「ウェンズベリー原則Wednesbury principles」の構成要素として認められるであろう。行政官庁が適切に行動する必要性についての議論の中で、グリーン卿Lord Greeneは、この事件において、誤った信念、不正直、公共政策の無視、考慮されなければならない事柄を考慮しないこと、不適切な事柄を考慮に入れること、あるいはあまりにも不合理すぎて合理的な行政官庁であれば決して到達しえない決定をすること(あるいは、裁判所が後に起こる事案に加えてきたような、決定が非合理的、もしくは道理に反すること)を含む不合理性の概念について言及した。

 

13. 決定する際に関係当事者の考えを適宜考慮すること。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION