た小規模な地方公共団体の場合、相談担当者が人事移動などにより、新たなポストにおいて立場が逆転する可能性が大きく必然的に問題解決に消極的になりやすいことなどが指摘される。
このような指摘に対応して、行うべきことは、一つには相談担当者の実務に関する研修の充実であり、また苦情処理機関や相談室の適正配置である。つまり、小規模な地方公共団体の場合、複数の団体や各種相談員等が合同して相談窓口を設置することや、相談担当者の相互交流を行うことなどによって弊害を最小限に止めることができるのではないかと考えられる。
この意味からも、相談窓口は幅広い問題に対応できる、ある程度の専門性と総合性を持った相談室を配置することが、今後の行政に望まれる。
また、人権擁護委員や民生委員等各種の相談員と連携した相談活動の充実も重要である。同時に過去の経験を踏まえ、同様の苦情に対してどのように対応したのか、これまでの状況がすぐに検索できるシステムの整備も必要である。過去の経験や他の団体の同様な経験を生かし、同じ間違いを繰り返さないことが容易にできるようにすることも、これから行政に求められていることに留意されたい。
(2) 行政相談活動への提言
ア. 国と都道府県・市町村の行政相談活動の緊密な連携の重要性
前述したように行政に対して苦情を持つ市民の多くは、それがどこの行政機関の管轄であるかといった問題をよく知っているわけではない。それ故行政の内部の仕組みを良く知っている者だけが得をするようなシステムは公平ではない。したがって既存の苦情処理機関同士は緊密な連携をとって運営され、市民の苦情に対して、迅速かつ適確に対応するシステムが構築される必要性があるといえよう。
また、各種相談委員相互間の一層の連携強化が必要なことも言うまでもない。
たとえば阪神・淡路大震災の直後に開設された震災復興特別相談所は、国と県・そして市の三者が提携して、合同して震災の被害にあった住民のための相談を行った試みであったし、その後このような緊急時に当たって、各種行政機関のみならず、弁護士会・司法書士会・土地家屋調査士会・宅地建物取引業協会・法律扶助協会といった民間団体も加わって相談に当たるという申し合わせが、各管区行政監察局及び行政監察事務所単位で行われたのも、一つの連携の成果であるといえよう。
また全相協では、平成6年6月に国際シンポジウム「オンブズマン・行政相談・行政手続-公正、透明で信頼される行政を目指して-」を開催して以来、平成8年11月に「行政苦情救済・オンブズマン大阪フォーラム」、そして平成9年10月に「行政苦情救済・オンブズマン仙台フォーラム」を開催し、外国や国内の他機関の実情を知ると同時に、その場